雪がかたく凍って、まるで大理石のようになりました。
四郎とかん子の兄妹が、雪の上を歩いています。キッキッキッキッと足音がして、どこまでも歩いていけます。
「堅雪かんこ、しみ雪しんこ」
ふたりは歌いながら歩きました。空は青くて、雪がお日さまの光を受けてきらきらと光っています。
森のほうから、小さな声が聞こえてきました。
「堅雪かんこ、しみ雪しんこ」
同じ歌です。木の陰から子ぎつねが四匹、顔を出しました。赤茶色の毛がふさふさで、目がくりくりとしています。
「堅雪かんこ、しみ雪しんこ」
子ぎつねたちもそう歌います。しっぽをぴんと立てて、耳をぴくぴく動かしながら。四郎とかん子は思わず笑いました。子ぎつねたちもにこにこしています。吐く息が白くて、お日さまの光の中でふわりと消えていきました。
「今夜、幻燈会をやるの。来てくれる」
子ぎつねの紺三郎が言いました。紺三郎は四匹の中で一番大きくて、おでこに黒いぶちがあります。
「幻燈会。行く行く」
四郎とかん子はわくわくしました。
夜になると、ふたりはまた雪の上を歩いて森へ向かいます。月が大きく出ていて、雪原が銀色に輝いていました。影がくっきりと地面に映ります。
森の中の広場に着くと、きつねたちが大勢集まっていました。大人のきつねも、子ぎつねも、おじいさんきつねも。みんなお行儀よくちょこんと座って、正面に張られた白い幕を見つめています。松の木にちいさな提灯がいくつもぶら下がって、やわらかなオレンジ色の光を放っていました。
紺三郎が出てきて、ぺこりとお辞儀をしました。
「これから幻燈をお目にかけます」
幕に絵が映し出されました。きつねの学校の絵です。子ぎつねたちがお勉強をしている様子が、やわらかな光の中に浮かんでいます。
次の絵は、きつねのお団子屋さん。ほかほかのお団子が湯気を立てて、見ているだけで口の中にやわらかい味が広がるようです。
「きつねのお団子は、人間のより上手だぞ」
紺三郎が胸を張ります。四郎とかん子はくすくす笑いました。
それからきつねのお祭りの絵、きつねの運動会の絵、きつねの雪合戦の絵。どれもいきいきとしていて、見ているだけで楽しくなります。
最後の絵は、雪の野原で遊ぶきつねと人間の子どもたちでした。みんな手をつないで輪になって、楽しそうに踊っています。雪が降る中、ほっぺを赤くして笑い合っている絵です。
「わたしたちは、人間とも友だちになりたいのです」
紺三郎がそう言うと、きつねたちがみんなでぱちぱちと手を叩きました。四郎とかん子もいっしょうけんめい拍手します。
紺三郎がきびだんごをくれました。月の光の中で食べるきびだんごは、ほんのり甘くて、きなこの香りがふわりとします。
「おいしい」
「だろう。きつねのきびだんごは特別なんだ」
紺三郎がにかっと笑いました。白い歯がお月さまの光にきらりと光ります。
帰り道、ふたりは手をつないで雪の上を歩きました。月が頭の上に高くのぼって、影が短くなっています。振り返ると、森のほうからきつねたちの歌声がかすかに聞こえてきました。
「堅雪かんこ、しみ雪しんこ」
雪がきゅっきゅっと鳴ります。家の灯りがぽつんと見えて、煙突から白い煙がまっすぐに昇っていました。空いっぱいの星が、しんしんと光っています。