外は雪が降っています。
窓ガラスの向こうに、白い雪がしんしんと降り続けていました。庭の木も、屋根も、道も、ぜんぶ白い雪に覆われています。
部屋の中はあたたかい。暖炉に火が燃えていて、ぱちぱちと小さな音を立てています。
オレンジ色の炎がゆらゆらと揺れていました。薪がはぜて、ぱちん。小さな火の粉が舞い上がって、すぐに消えていきます。
暖炉の前にふかふかのクッションを置いて、座りました。背中に毛布をかけると、じんわりとあたたかくなっていきます。
火を見つめていました。炎はいつも同じ形をしていません。大きくなったり、小さくなったり。赤い色からだいだい色に変わって、先のほうが黄色く光っています。
ぱち。ぱちぱち。
薪の中から樹液がはじける音がします。甘くて少しけむたい匂いがしました。松の木の匂いです。
薪がまたひとつ、ぱちんとはじけました。赤い火の粉が上にのぼって、煙突の中へ消えていきます。暖炉の中で、燃える薪がじわりと白い灰に変わっていく。
テーブルの上にマグカップがあります。ココアが入っていて、湯気がほわほわと立ちのぼっています。チョコレートの匂いがふわりと鼻先をくすぐりました。
ひと口飲むと、あまくて、あたたかくて、体の中がぽかぽかになります。
猫がやってきました。しっぽをゆらゆら揺らしながら近づいてきて、膝の上にぴょんと飛び乗ります。くるりと回ってまるくなって、のどをごろごろと鳴らし始めました。毛がやわらかくて、あたたかい。背中を撫でると、もっと大きくごろごろと鳴ります。耳がぴくっと動いて、目を細めました。
窓の外で、雪がしんしんと積もっていきます。音もなく、静かに。ときどき風が吹いて、雪がふわりと舞い上がりました。
暖炉の火がゆっくりと燃えています。ぱち。ぱち。やさしいリズムで、まるで火が歌を歌っているようです。
炎の影が壁にゆらゆらと映って、部屋じゅうがだいだい色のあたたかい光に包まれていました。
膝の上の猫がすうすうと寝息を立て始めました。耳がぴくぴくと動いて、しっぽの先がときどき揺れます。
ぱちぱち。しんしん。ごろごろ。暖炉の音と、雪の静けさと、猫の寝息。三つの音がやさしく重なって、部屋の中にゆっくりと漂っていました。
まぶたがだんだん重くなっていきます。炎がゆらゆらと揺れて、猫のぬくもりが伝わってきて。窓の外の雪が、静かに静かに降り続けていました。