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oyasumi.baby よみきかせ時間目安:3分

酸っぱい葡萄

秋の昼下がりのこと。

きつねが野原を歩いていると、高い木の枝にぶどうがたわわに実っているのを見つけました。紫色のぶどうが、お日さまの光を浴びてつやつやと輝いています。

「おいしそうだなあ」

きつねはお腹がぺこぺこでした。あのぶどうを食べたくてたまりません。

ぴょん。きつねが跳びあがりました。けれど、ぶどうには届きません。

もう一度。ぴょん。やっぱり届きません。

助走をつけて、えいっ。ぴょーん。前足の先がかすりましたが、ぶどうはびくともしません。

何度跳んでも、何度跳んでも、ぶどうは高いところで揺れているだけ。きつねはとうとう息が切れて、ぺたんと座り込みました。

「ふん。あのぶどうはきっと酸っぱいに決まっている。食べなくてよかった」

きつねはそう言って、つんと澄ました顔で歩き去りました。

でも、ほんとうは知っていたのです。あのぶどうは、きっとおいしいということを。

とぼとぼと歩いていると、道ばたに野いちごを見つけました。赤くて、小さくて、地面にちょこんと実っています。

きつねがぱくりと食べると、甘い汁が口いっぱいに広がりました。

「なんだ、こっちのほうがおいしいじゃないか」

きつねはもう一粒、もう一粒と野いちごを食べました。ほっぺたが赤くなるくらい、おいしい。

秋の風が吹いて、木の葉がかさかさと音を立てています。夕日がきつねの毛を金色に染めて、長い影が道の上に伸びていました。