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oyasumi.baby よみきかせ時間目安:5分

さるかに合戦

むかし、あるところに、かにのお母さんと小さな子がにたちが住んでおりました。

ある日のこと。かにのお母さんが道ばたでおにぎりを拾いました。まんまるの、おいしそうなおにぎりです。

そこへ、さるがやってきました。手には柿の種をひとつ持っています。

「かにさん、そのおにぎりと、この柿の種を取り替えっこしないかい。種を蒔けば、甘い柿がたくさんなるよ」

かにのお母さんは少し迷いましたが、子がにたちに柿を食べさせてやりたいと思いました。

「いいよ。取り替えっこしましょう」

さるはおにぎりをぱくぱくと食べて、さっさと行ってしまいました。

かにのお母さんは庭に柿の種を蒔きました。子がにたちが毎日、水をやります。

「早く芽を出せ、柿の種。出さなきゃ、はさみでちょんぎるぞ」

すると不思議なことに、にょきにょきと芽が出て、ぐんぐんと伸びて、あっという間に大きな柿の木になりました。秋になると、枝がたわむほどたくさんの柿の実がなっています。

「わあ、おいしそう」

子がにたちが目を輝かせます。けれど、かにの手では高い枝に届きません。

ちょうどそこへ、さるが通りかかりました。

「さるさん、柿を取ってくれないかい」

さるはするすると木に登って、柿をもいでは自分で食べ始めました。甘くて熟れた柿ばかり選んで、ぱくぱくと。

「さるさん、こっちにも分けておくれよ」

すると、さるはまだ青くて固い柿の実を、下に向かってぽーんと投げつけました。固い実がかにのお母さんにぶつかります。甲羅がぐしゃりと割れて、かにのお母さんはそのまま動かなくなりました。

「お母さん。お母さん」

子がにたちが泣きながら駆け寄りますが、お母さんはもう目を開けません。さるは知らん顔で、柿をお腹いっぱい食べると行ってしまいました。

子がにたちは泣いて泣いて、泣き疲れて、それでもまた泣きました。

その話を聞いて、怒ったのが栗と蜂と臼と牛のふんです。みんな、かにのお母さんの友だちでした。

「あのさるに、思い知らせてやろう」

みんなでさるの家に向かいました。さるが留守のあいだに、それぞれ隠れます。栗は囲炉裏の灰の中に。蜂は水桶のそばに。牛のふんは土間の入口に。臼は屋根の上に。

さるが帰ってきて、囲炉裏にあたろうとしました。すると灰の中から栗がポーンと飛び出して、さるのおしりにぶつかります。

「あちちち」

さるがあわてて水桶に手を伸ばすと、蜂がブーンと飛び出して、さるの鼻をチクリ。

「いたたた」

さるが飛び上がって外へ逃げようとすると、土間で牛のふんにすべって、つるーん。

「うわわわ」

最後に屋根の上から臼がドスンと落ちてきて、さるはぺしゃんこになってしまいました。

子がにたちはお母さんのお墓に報告しました。

「お母さん、みんなが助けてくれたよ。さるはもう悪いことできないよ」

秋の風がさわさわと吹いて、柿の葉が赤く色づいた庭に、やわらかな夕日が差し込んでいます。柿の木にはたくさんの実がなっていて、夕日の光でだいだい色に輝いていました。

子がにたちは柿の実をひとつもいで、お墓にそっとお供えしました。