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oyasumi.baby よみきかせ時間目安:4分

ねずみのすもう

むかし、あるところに、おじいさんとおばあさんが住んでおりました。

ある冬の日のこと。おじいさんが山から帰ってくると、庭のすみっこで小さな声が聞こえました。

「はっけよい、のこった」

声のするほうを覗いてみると、二匹のねずみが相撲をとっています。一匹はやせっぽちで、もう一匹はまるまると太っていました。

ぺたん。

やせっぽちのねずみが、すぐにひっくり返されてしまいます。何度やっても、何度やっても、やせっぽちのねずみは勝てません。

けれど、やせっぽちのねずみは何度でも立ち上がります。小さな体を震わせながら、またかまえるのです。

おじいさんは、そのけなげな姿を見て胸がきゅっとなりました。

「かわいそうに。あの子にお餅を食べさせてやったら、力がつくかもしれないねえ」

家に戻って、おばあさんに話すと、おばあさんはにっこり笑いました。

「そうだねえ。お餅をついてやろうかね」

ぺったん、ぺったん。ぺったん、ぺったん。

おばあさんがこねて、おじいさんがつきます。もち米の甘い香りが台所いっぱいに広がりました。つきたてのお餅から、ほかほかと湯気が立ちのぼります。やわらかくて、もちもちして、手にくっつくほどあたたかい。

おばあさんが小さなお餅をちぎって、きなこをまぶしてくれました。

「これならねずみさんも食べやすいだろう」

おじいさんは庭のすみっこに、そのお餅をそっと置いてやりました。

次の朝、お餅はきれいになくなっています。その代わりに、小さな足跡がぽつぽつとついていました。

「食べてくれたんだねえ」

おじいさんは嬉しくなって、次の日も、その次の日もお餅を置いてやりました。

何日か経った、ある晴れた朝のこと。

庭から元気な声が聞こえてきます。

「はっけよい、のこった」

おじいさんが覗いてみると、あのやせっぽちのねずみが、少しふっくらとして、しっかりとした足で踏ん張っています。

がっぷり組み合って、押して、押されて。

「のこった、のこった」

ぐうっと腰を入れて、やせっぽちのねずみが太ったねずみを押し出しました。

「やったあ」

小さな声が響きます。ねずみたちはしっぽをぴんと立てて、嬉しそうにくるくる回りました。

おじいさんは目を細めて、そっと手を叩きました。

おばあさんが縁側にやってきて、一緒にねずみたちを見守ります。

「よかったねえ」

「ああ、よかったねえ」

ふたりは並んで、冬の日だまりの中で笑い合いました。ねずみたちの小さな声が、寒い空気の中をころころと転がっていきます。

屋根の上では、雪がきらきらと光っていました。