一日が終わります。
空がだんだん暗くなって、西のほうだけ、うすい茜色が残っていました。
お風呂に入りました。あたたかいお湯が体を包んで、じんわりと力が抜けていきます。窓の外から、夕ごはんの匂いがかすかに漂ってきました。
パジャマに着替えます。洗いたてのパジャマはやわらかくて、お日さまの匂いがしました。
歯を磨いて、お水をひと口飲みました。コップを置くと、こつんとやさしい音がします。
お布団に入りました。シーツがひんやりして、でもすぐにあたたかくなっていきます。枕に頭をのせると、ふうっと息がこぼれました。
今日はどんな一日だったかな。
朝、目が覚めたとき、カーテンのすきまから光が差し込んでいました。まぶしくて、すこしだけ目を細めたこと。
朝ごはんのトーストがさくさくでおいしかったこと。牛乳をこぼしそうになって、あわてて受け止めたこと。
学校の帰り道、空が高くて、雲が動物の形をしていたこと。あれはくじらに見えた。友だちはうさぎだと言っていた。
公園でおにごっこをして、走って、笑って、転んで、また笑ったこと。膝小僧にすりきずができて、ばんそうこうを貼ってもらったこと。
夕ごはんのカレーがおいしかったこと。お母さんが作る甘口のカレー。にんじんがやわらかくて、ほくほくしていたこと。
今日あった小さなこと。うれしかったこと。おもしろかったこと。全部、ゆっくりと思い出しています。
窓の外で虫が鳴いています。りりり。りりり。やさしくて、静かな声。
お母さんが来て、おでこにそっとキスをしてくれました。
「おやすみ」
「おやすみ」
電気が消えて、部屋がやわらかな闇に包まれます。カーテンのすきまから、月の光がすこしだけ入ってきていました。
明日はなにをしようかな。明日も、きっといい一日になる。
目を閉じると、体がふわりと軽くなりました。布団があたたかくて、枕がやわらかくて。虫の声が遠くなって、月の光がそっと部屋を照らしています。
おやすみなさい。また明日。