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oyasumi.baby よみきかせ時間目安:7分

アラジンと魔法のランプ

むかしむかし、遠い砂漠の国に、アラジンという少年が住んでいました。

アラジンはお母さんとふたりきり。貧しい暮らしでしたが、アラジンはいつも元気いっぱいです。

ある日のこと。不思議な老人がアラジンに話しかけてきました。

「アラジンや。砂漠の奥に、宝物がいっぱいの洞窟があるのだ。お前にしか開けられない扉がある」

アラジンは老人について、砂漠の奥へと歩いていきました。砂が風に吹かれて、さらさらと音を立てています。空は青くて、どこまでも広い。

岩の間に、小さな入り口がありました。中は真っ暗です。

「中に古いランプがある。それを持ってきてくれ。ほかのものは触ってはいけないよ」

アラジンは洞窟の中へ降りていきました。暗い階段を一段ずつ下ります。石の壁がひんやりと冷たい。足元に水がぽたりぽたりと滴っています。

やがて長い階段が終わって、目の前に広い部屋が現れました。

息をのみました。

金の山。銀の山。宝石がきらきらと輝いて、壁も天井も光であふれています。赤いルビー、青いサファイア、緑のエメラルド。洞窟の中が、まるで星空のようでした。

その奥に、古びたランプがぽつんと置いてありました。すすけた真鍮のランプです。とても宝物には見えません。

アラジンはランプを手に取って、洞窟から出ようとしました。ところが、老人が急に意地悪な顔になりました。

「先にランプをよこせ」

アラジンが断ると、老人は洞窟の扉を閉めてしまいました。ゴゴゴ、と重い音がして、あたりが真っ暗になります。

アラジンは暗闇の中で途方に暮れました。けれど泣いてはいられません。手の中のランプを見つめます。

汚れを拭こうと、袖でランプをこすりました。

すると。

ランプの口から、もくもくと煙が出てきました。煙の中から、大きな大きな精霊が現れたのです。

「わたしはランプの精。ご主人さまの願いをかなえましょう」

精霊の声は、雷のように大きいけれど、どこかやさしい響きがありました。

「ここから出して。お母さんのところへ帰りたい」

アラジンが言うと、精霊はうなずきました。次の瞬間、アラジンはお母さんの家の前に立っていたのです。

「アラジン。おかえり」

お母さんがぎゅっと抱きしめてくれました。温かい腕の中で、アラジンの目からぽろりと涙がこぼれます。

それからのアラジンは、ランプの精霊の力を借りて、少しずつ暮らしを良くしていきました。アラジンが一番嬉しかったのは、お母さんにおいしいご飯を食べさせてあげられることでした。ほかほかのナンと、香辛料のきいたスープ。お母さんの目がほろりと潤みます。

ある日、アラジンは町の市場で、お忍びで買い物に来ていたお姫さまに出会いました。お姫さまは果物を選びきれなくて困っている女の子にそっと声をかけて、一緒に選んであげています。その姿を見て、アラジンの胸がどきんと鳴りました。

精霊の力で立派な衣装を身にまとい、アラジンはお城を訪ねました。王さまの前でひざまずいて、姫さまとの結婚を願い出ます。

「おまえはどんな宝物を差し出せるのだ」

精霊が目のくらむような宝石や黄金を運んでくると、王さまはたいそう驚きました。お姫さまもアラジンの誠実な目を見て、こくんとうなずきます。

ふたりは美しいお城で、一緒に暮らすようになりました。

けれど、あの老人がまだ諦めていません。アラジンの留守に「古いランプを新しいランプと交換します」と言って、ランプを奪い取ってしまったのです。お城もお姫さまも、ランプの力で遠い国へ飛ばされてしまいました。

アラジンは泣いている暇はありません。旅に出て、知恵と勇気でお姫さまを見つけ出しました。ふたりで力を合わせて老人からランプを取り戻し、お城を元の場所へ帰します。

ある晩のこと。アラジンはお城の一番高い塔に登って、夜空を見上げました。

砂漠の空には、星が降るように輝いています。あの洞窟の宝石よりも、もっともっと美しい。

精霊がそっと隣に浮かんでいました。

「ご主人さま。何かお望みは」

アラジンは首を振って笑いました。

「今夜は何もいらないよ。この星空を眺めているだけで、じゅうぶん幸せだ」

砂漠の夜風が、やさしくアラジンの頬をなでていきました。ランプの灯りがほのかに揺れて、塔の壁にやわらかな影を落としています。

遠くの砂丘の向こうから、らくだの鈴の音がちりん、ちりんと聞こえてきます。

星の光が、砂漠の上にそっと降り注いでいました。