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oyasumi.baby よみきかせ時間目安:3分

波のゆりかご

波の音がします。

ざざあん。ざざあん。

砂浜に座って、海を見ていました。夕日が水平線にかかって、海がまるごとだいだい色に染まっています。

波がやってきます。白い泡を立てて、足元まで広がって、またすうっと引いていく。ざざあん。ざざあん。

砂がぬれて、きらきらと光ります。小さな貝殻が波に洗われて、透きとおるような色を見せました。桜色、うす紫、空色。海の宝石みたいです。

やどかりが一匹、砂の上をせかせかと歩いていきます。波が来ると、ぴたりと止まって、波が引くとまた歩き出しました。小さな足跡が砂にぽつぽつとついて、次の波がそれをそっと消していきます。

かもめが一羽、波の上をすべるように飛んでいきました。白い羽が夕日に染まって、うすいピンク色に光っています。遠くの水平線に、漁船の影がぽつんと見えました。

夕日がどんどん沈んでいきます。海の色がだいだいから赤に変わって、それから紫に。空に薄い雲がかかっていて、ピンクと金色に光っていました。

ざざあん。ざざあん。

波の音は、いつまでも同じリズムです。寄せて、返して。寄せて、返して。ゆっくりと、やさしく。

風が潮の香りを運んできます。すこし塩辛くて、すこし甘い、海の匂い。髪の毛がふわりと揺れました。

砂浜に寝転がると、砂がまだあたたかい。昼間の太陽のぬくもりが残っています。背中を砂に預けて、空を見上げました。

一番星がぽつんと光っています。海の上の空は広くて、星がよく見えました。

ざざあん。ざざあん。

波の音が、ゆりかごのように体を包みます。寄せて、返して。まるで海が子守唄を歌っているようです。

遠くに漁船の灯りがぽつりと見えました。小さなオレンジ色の光が、波に揺られてゆらゆらと動いています。

ざざあん。ざざあん。

波の音に耳を傾けていると、体がどんどんやわらかくなっていきます。砂のベッドに沈み込んで、波の音に揺られて、風にそっとなでられて。空の星がゆらゆらと揺れて見えました。