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oyasumi.baby よみきかせ時間目安:3分

ろばを洗う男

むかし、あるところに、塩を売る男がおりました。

男は毎日、ろばの背中に塩の袋を載せて、山を越えて町へ売りに行きます。ろばはよたよたと歩いて、重い塩を運んでくれました。

ある日、川を渡るときに、ろばが足をすべらせて水の中に転んでしまいました。

ざぶん。

ろばが立ち上がると、あら不思議。背中の荷物がとても軽くなっています。川の水で塩が溶けてしまったのです。

ろばは覚えました。川に転べば、荷物が軽くなる。

次の日も川を渡るとき、ろばはわざと転びました。ざぶん。塩がまた溶けて、軽くなります。

「しめしめ」

ろばは毎日、川でわざと転ぶようになりました。そのたびに塩が溶けて、男は困ってしまいます。

「これは何とかしなくては」

男は考えて、次の日、塩の代わりに綿を載せました。ふわふわの綿の袋をたっぷりと。

ろばは川に差しかかると、いつものようにわざと転びました。ざぶん。

ところが、今度は立ち上がると、荷物がずっしりと重くなっています。綿が水を吸って、何倍にも膨らんでしまったのです。

ろばは目を白黒させて、よたよたと岸に上がりました。重たい、重たい。足がぷるぷると震えます。

男がぽんぽんとろばの背中を叩きました。

「ずるをすると、かえって大変になるんだよ」

ろばはしょんぼりと耳を垂らしました。それからは川でわざと転ぶことはなくなったのです。

夕方、男はろばの体をきれいに拭いてやって、干し草をたっぷりあげました。ろばはもしゃもしゃと食べながら、少し申し訳なさそうに男を見つめます。男はくすっと笑って、ろばの鼻先をなでてやりました。

夕焼けが小屋の中にやわらかく差し込んでいます。ろばのたてがみが金色に光って、干し草の匂いがほんのりと漂っていました。