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oyasumi.baby よみきかせ時間目安:3分

金の卵を産むガチョウ

むかし、あるところに、農夫がおりました。

農夫はある朝、小屋の鶏小屋を覗いて目を丸くしました。一羽の白いガチョウのそばに、金色に光る卵がころんと転がっていたのです。

「なんだこりゃ。金の卵だ」

持ち上げると、ずしりと重い。町に持っていくと、たいそうなお金になりました。

次の朝も、金の卵がひとつ。その次の朝も、また金の卵がひとつ。白いガチョウは毎朝、金の卵をひとつだけ産むのでした。

農夫の暮らしはみるみる豊かになりました。壊れかけだった屋根を直し、温かい毛布を買い、おいしいものを食べられるようになります。

けれど、日が経つにつれて、農夫はだんだん我慢ができなくなってきました。

「一日にひとつでは遅い。きっとガチョウのお腹の中には、金の卵がいっぱい詰まっているに違いない」

農夫はガチョウのお腹を切り開こうとしました。

けれど、ちょうどそのとき、奥さんが小屋に入ってきたのです。

「あなた。何をしているの」

農夫はナイフを持った手を止めました。ガチョウは何も知らずに、ぐうぐうと眠っています。白い羽がやわらかく上下して、小さな寝息が聞こえていました。

奥さんがそっとガチョウを抱き上げます。ガチョウはうっすら目を開けて、奥さんの腕にすり寄りました。

「この子は毎朝、わたしたちのために卵を産んでくれているのよ。それだけでじゅうぶんじゃないの」

農夫ははっとしました。ナイフを置いて、ガチョウの頭をそっとなでます。

「すまなかった。おまえは大切な家族だ」

ガチョウはグワッと一声鳴いて、また眠りにつきました。

次の朝も、金の卵はちゃんとひとつ、温かいわらの上に光っていました。農夫は卵をそっと手に取って、にっこり笑います。

窓の外では朝日が昇って、畑の麦が金色に輝き始めていました。ガチョウがよちよちと庭を歩いて、水たまりにくちばしを突っ込んでいます。朝のやわらかな光が、白い羽をほんのりと染めていました。