🔒
oyasumi.baby よみきかせ時間目安:4分

大きなかぶ

むかし、あるところに、おじいさんが住んでおりました。

おじいさんは春に、小さな種をひとつぶ蒔きました。かぶの種です。

お日さまがぽかぽかと照って、雨がしとしとと降って。かぶはすくすくと育っていきました。

夏が来て、秋が来て。

かぶは大きくなりました。大きく、大きく、どんどん大きくなって、とうとう見たこともないくらいの、おおきなおおきなかぶになりました。

「さあ、抜くとしよう」

おじいさんがかぶに手をかけて、引っ張ります。

「うんとこしょ、どっこいしょ」

かぶは動きません。びくともしません。

おじいさんはおばあさんを呼んできました。おばあさんがおじいさんの腰につかまって、ふたりで引っ張ります。

「うんとこしょ、どっこいしょ」

かぶは動きません。まだまだ動きません。

おばあさんは孫娘を呼んできました。孫娘がおばあさんの腰につかまって、三人で引っ張ります。

「うんとこしょ、どっこいしょ」

かぶは動きません。ぐぐっと揺れたような気がしましたが、やっぱり抜けません。

孫娘は犬を呼んできました。犬が孫娘のスカートをくわえて、四人と一匹で引っ張ります。

「うんとこしょ、どっこいしょ」

かぶは動きません。

犬は猫を呼んできました。猫が犬のしっぽにつかまって、みんなで引っ張ります。

「うんとこしょ、どっこいしょ」

かぶは動きません。もうちょっとのような気がするのに、まだ抜けないのです。

猫はねずみを呼んできました。小さな小さなねずみです。ねずみが猫のしっぽにちょこんとつかまりました。

「さあ、みんなでいくよ」

「うんとこしょ、どっこいしょ」

ズボッ。

かぶが抜けました。

おじいさんもおばあさんも孫娘も、犬も猫もねずみも、みんなひっくり返って尻もちをつきました。

見上げると、おおきなおおきなかぶが、秋の空をバックにどーんとそびえています。

みんなで顔を見合わせて、にっこり笑いました。

その夜、おばあさんがかぶのスープを作ってくれました。大きなお鍋でことこと煮ると、甘くてやさしい匂いが家じゅうに広がります。

みんなで並んで、ふうふう息を吹きかけながらいただきました。犬も猫もねずみも、みんなで一緒に。

あたたかくて、やさしくて、おいしい秋の夜でした。