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oyasumi.baby よみきかせ時間目安:4分

星の銀貨

むかし、あるところに、心のやさしい女の子がおりました。

着ているものといえば、ボロボロの上着がひとつきり。それでも女の子は、にこにこと笑っていました。

ある冬の夜のことです。女の子が雪道を歩いていると、道ばたに年老いたおばあさんが座っていました。寒さにぶるぶると震えています。

「おばあさん、これを使ってください」

女の子は自分の上着を脱いで、おばあさんの肩にそっとかけてあげました。

「ありがとう、ありがとうねえ」

おばあさんの目に涙が光ります。女の子は、薄いシャツ一枚になりました。冷たい風が体をすり抜けていきます。

もう少し歩いていくと、今度は小さな男の子が泣いていました。お腹が空いて、動けなくなっているのです。

「はい、これをお食べ」

女の子はポケットに残っていた最後のパンを、男の子に渡しました。

「おねえちゃん、ありがとう」

男の子がパンをかじると、ほんの少しだけ元気が戻ったようです。

女の子はもう、何も持っていません。上着もパンも、全部あげてしまいました。

真っ暗な野原に、ひとりぽっちで立っています。吐く息が白く、指先はかじかんでいました。

ふと、空を見上げました。

満天の星が、きらきらと輝いています。

すると不思議なことが起こりました。星の光が、すこしずつ強くなっていくのです。

やがて星たちの光が銀色に変わり、空からひらり、ひらりと何かが降り始めました。

銀貨です。温かい銀貨が、雪のように降ってきます。

一枚、また一枚。女の子の手のひらに、そっと落ちてきます。銀貨は不思議なことに、冷たくありません。まるで誰かの手のぬくもりのようでした。

女の子は両手を広げて、降ってくる銀貨を受け止めました。

星の光が、女の子の周りをやさしく照らしています。さっきまで寒くてたまらなかったのに、体がぽかぽかと温かくなってきました。

やがて夜風がしずまり、あたりはしんと静まり返ります。銀貨のやわらかな光に包まれて、女の子の目がゆっくりと重くなっていきました。

星たちが、空の上から静かに見守っています。